志馬クリニック四条烏丸

志馬クリニック四条烏丸 医療内容 マイクロ波子宮内膜アブレーション

マイクロ波子宮内膜アブレーション

はじめに

マイクロ波子宮内膜アブレーション(microwave endometrial ablation ; MEA)は、過多月経(月経時の出血量が異常に多い)で日常生活に支障を来すような場合に、マイクロ波アプリケーターを使って子宮内膜にマイクロ波を照射し、子宮内膜を壊死させて月経血を軽減する手術治療です。


マイクロ波とは

電波の周波数による分類の一つで、波長1m〜1mm、周波数300MHz〜300GHzの電波をさします。衛星放送、テレビ、携帯電話などの通信や、カーナビのGPSによる測位システム、電子レンジなどに使用されています。


マイクロ波による加熱

  • マイクロ波加熱は、マイクロ波が物質に吸収されエネルギーが熱になることによる加熱です。
  • 外部熱源による加熱と異なり、熱伝導や対流の影響がほとんど無視できる点や、特定の物質のみを選択的かつ急速・均一に加熱できる点などに特徴があります。
  • マイクロ波加熱を利用した装置としては、電子レンジがよく知られています。
  • マイクロ波子宮内膜アブレーション(MEA)も電子レンジと同じ2.45GHzを利用したマイクロ波加熱で、発熱によってタンパク質が変性することにより凝固し、止血作用も期待できます。

適 応

  1. 過多月経のために子宮摘出術その他の外科的手術が考慮される方
  2. 過多月経の制御のための保存的治療が無効な方
  3. 妊孕性を温存する必要がない方
  4. 妊孕性を温存する必要はないが、子宮摘出は回避したい方
  5. 可及的に子宮内膜病変が除外できている方
  6. 子宮筋腫・子宮腺筋症のために子宮腔が拡大・変形しているが、卵管角部・子宮底部を含めてすべての子宮内膜にマイクロ波アプリケーターが容易に到達できる方
  7. 子宮筋層の厚さが10mm未満の部位がない方


子宮内膜焼灼術(MEA)


不適応

  1. 妊孕性を温存する必要がある(挙児希望がある)方
  2. 子宮内膜悪性病変(子宮内膜癌・異型子宮内膜増殖症など)の方
  3. 子宮内腔の拡大・変形が高度なため、マイクロ波アプリケーターで処理できない子宮内膜が広い面積で発生すると予想される方
  4. 子宮筋層の厚みが10mm未満 の方

ただし、卵管角部や帝王切開の瘢痕部のように、超音波ガイドによって容易に10mm未満の部分を避けてマイクロ波を焼灼できる場合は不適応から除外する


長 所

  1. 低侵襲
    軽度の麻酔のみで日帰り手術が可能です。
  2. 合併症が少ない
    切開などの外科的操作を伴わないため、手術に伴う合併用があまりありません。
  3. 社会生活への影響が少ない
    午後の半休を利用した日帰り手術が可能で、手術翌日からも仕事や日常生活に制限はありません。
  4. 低コスト
    2012年4月から健康保険の適応が認められており、個人の負担が大幅に軽減されました。
  5. 子宮温存が可能
    子宮摘出術に伴う女性としての喪失感や、性生活時の違和感がありません。
  6. 薬の服用不要
    術後は、ホルモン療法などのように毎日薬を飲み続ける必要がありません。

短 所

  1. 再発の可能性
    MEA後、約90%の方は過多月経が改善しますが、中には過多月経が再発して再度、MEAが必要になる方がいらっしゃいます(約5%)。
  2. 妊孕性の低下
    MEA後に妊娠する可能性は極めて低く、不妊になる可能性もある。
  3. 偶発的妊娠の危険性
    MEA後に妊娠する可能性は極めて低いが、稀に偶発的に妊娠する可能性があり、この場合に妊娠を継続した場合や、分娩に至った場合は、重篤な合併症の危険性が高い。

副作用・合併症

  1. 下腹部痛
    術後に軽い下腹部導通や違和感を感じることがあります。「軽い生理痛」程度のことが多く、術後は独歩で帰宅可能です。翌日には疼痛は消失します。
  2. 水様性帯下
    術後は水様性帯下が増量するが、術後4週間程度で消失します。水様性帯下に月経が重なると、過多月経が増悪したように錯覚することがありますが、術後2周期目の月経周期からは軽減します。
  3. 卵管結紮アブレーション後症候群
    卵管結紮術を受けた女性が、MEA後に卵管角部に膿瘍を発生するもの。卵管結紮後の既往は、MEA後の子宮摘出術のリスクを高めると報告されています。
  4. 子宮留血症
    MEA後に内子宮口付近が瘢痕化して閉鎖し、子宮留血腫が発生する場合があります。
  5. 子宮内感染症
    MEAにより壊死に陥った組織が、膣から逆行性に感染し、子宮の鈍痛や悪臭を伴う帯下の増量を認めることがあり、悪化すると、腹膜刺激症状を伴い、入院の上、点滴治療が必要になる場合もあります。
  6. 子宮穿孔
    子宮頸部の拡張操作時や、マイクロ波アプリケーターで照射中に、子宮穿孔の可能性があります。
  7. 子宮穿孔を伴わない子宮外臓器の熱傷
    子宮筋層が菲薄化した部位(10mm>)でマイクロ波を照射すると、子宮壁が穿孔していなくても熱で子宮外臓器に熱傷を発症させる危険性があります。
  8. 麻酔に伴う合併症
    稀にアレルギー、呼吸抑制などが起こりえますが、他の手術時の麻酔と頻度は変わりありません。

料 金

子宮鏡下子宮内膜焼灼術 約5−6万円(健康保険3割負担の場合)

  • すべて日帰り手術です。入院費用などはかかりません。
  • 再診料、予約料、処方料などが別途発生します。

実施時期

「月経終了から排卵まで」(おおよそ月経周期5〜12日目頃)

  • 手術前に、ホルモン療法を行う場合もあります。
  • 月経周期や社会的制約によっては、上記時期以外でも実施する場合もあります。

MEAまでの流れ

  1. 面 談 :前周期に、担当医からMEAについてご説明します。
  2. 検 査 :手術に必要な血液検査を行います。すべての結果確認に約1週間かかります。
  3. 予 約 :前周期に、次の月経発来日を推測しMEA日時の「仮予約」をいたします。
  4. 月経発来:月経発来すればクリニックにご連絡ください。この時点でMEAの日程を「確定」いたします。予定より月経発来が遅れている場合は、この電話でMEAの日程を調整いたします。電話予約番号 075-221-6821(月水金8:00-20:00・火木土8:00-16:00)
  5. 手術当日:予定時刻の15分前にはクリニックにお越しください。

MEA当日の流れ

  1. 受 付 :手術予定時刻(13時/13時半)の15分前までにお越しください。
  2. 準 備 :回復室(更衣室)にご案内します。排尿、更衣をお済ませください。
  3. 麻 酔 :手術室で点滴ルートを確保し安全管理モニターを装着した状態で行います。
  4. 手 術 :手術室で行います。約30分程度で終了します。
  5. 観 察 :回復室にて1-2時間、経過を観察します。
  6. 面 談 :麻酔が覚めたら、手術経過、今後の治療方針についてご説明します。
  7. 会 計 :術後に必要な薬剤を受け取り、会計をして帰宅します。
  8. 再 診 :約1週間後に再診していただきます。術後合併症の有無を確認します。

麻 酔

  1. 静脈麻酔を併用します。
  2. あらかじめ「麻酔問診票」にご記入いただきます。
  3. 合併症や健康状態によっては、麻酔および手術をいたしかねることもございます。
  4. 術中(約30分程度)、痛みを感じることはほとんどありません。
  5. 麻酔に伴う副作用・合併症の頻度は、他の手術時の麻酔となんら変わりありません。
  6. 術後は、独歩で帰宅可能です。麻酔の影響で判断力が低下している可能性がありますので、車の運転はお控えください。翌日以降の日常生活に支障はありません。

注意事項

  1. 食事制限:
    当日7:00 〜絶食(手術6時間前から固形物の摂取はお控えください)
    当日10:00〜絶飲(手術3時間前から水分の摂取はお控えください)
  2. 常用薬 :当日朝まで、いつも通りお飲みください。
  3. 化 粧 :顔色をみるため、術前にファンデーションと口紅は落としてください。
  4. 入 浴 :感染予防の為、術後3日間は入浴をお控えください(シャワー可)。
  5. 就 労 :翌日以降、いつも通り就労可能です。

MEAの実際


MEAの実際

「あと数年ですから、切らずに治してみませんか」

 

40代の過多月経や機能性出血に対しては、挙児希望がなければ「子宮摘出術」が長年にわたって繰り返されてきましたが、比較的安全に行える子宮摘出術でも、一定の頻度で手術合併症が発生し、もとから他の合併症を持つ場合は手術リスクが高くなることもあります。
閉経すれば出血による問題は解消するのに、閉経まであと数年のところで子宮摘出術を行うのは、過剰な治療ではないかという発想からマイクロ波子宮内膜アブレーションは開発されました。
女性の平均寿命が90歳に届こうかという長寿社会において、女性としてはまさに円熟期を迎え性生活もこれからというときに、子宮を摘出し腟断端の伸展性が低下したり、子宮の喪失感からリピド−が低下したりするようでは、生活の質(QOL)を考慮したヘルスケアとしては不十分ではないでしょうか。できるだけ体への負担は少なく、出血による不快な症状もなくし、さらに女として磨きをかけて40代からの半生をご一緒に謳歌しましょう!