志馬クリニック四条烏丸

志馬クリニック四条烏丸 医療内容 抗ミュラー管ホルモン(AMH)

抗ミュラー管ホルモン(AMH)

はじめに

生涯の卵子数卵巣は「卵子の貯蔵庫」です。すべての卵子は胎児期(母親のお腹にいる間)に作られ、原始卵胞という「卵子を育む袋」に入った状態で約700万個に達すると言われています。その後、卵子の数は減少し、生まれてくる時には約200万個、初潮時には30万個となります。その後、閉経までの約40年間で毎月1個の卵子を排卵すると、一生涯で約500個の卵子を排卵することになりますが、これは初経時に存在する卵子のたった1%にも満たない数で、99%以上の卵子は排卵に至らないまま卵巣内で消滅します。


AMHとは

AMHとは抗ミュラー管ホルモン(Anti-Mullerian Hormone;AMH)は、卵巣に貯えられた卵胞のうち、発育過程の卵胞(前胞状卵胞〜小胞状卵胞)の顆粒膜細胞から分泌され、加齢に伴い直線的に低下傾向を示すホルモンです。月経周期の影響を受けにくく、排卵のために準備されている卵胞数を反映することから、「卵巣年齢が分かる検査」として注目されています。


AMHと卵巣予備能

「卵巣年齢」は正確には「卵巣予備能 Ovarian Reserve; OR」といい「卵巣が有する潜在的な卵巣機能の予備力」を指します。具体的には、卵巣にある「卵胞の数」と「卵子の質」を反映する概念で、AMHは卵巣予備能の中で特に「卵胞の数」を反映する指標の一つと考えられます。AMHと卵巣予備能


加齢にともなうAMHの変化

正常排卵周期を有する女性では、血清AMHは加齢とともに減少し、胞状卵胞数と年齢によく相関します。
AMHと卵巣予備能


AMHの特徴と見方

  • 卵巣予備能を評価するマーカーの中で、加齢に伴い最も早い時期から変化します。
  • 個人差が非常に大きく、実際にはAMH値だけで「卵巣の年齢が何歳」と言えるわけではありません。
  • AMHが低下している場合、AMHを分泌する前の原始卵胞も減ってきている可能性があり、卵巣予備能検査を含めた妊孕能のスクリーニング検査をお勧めします。その上で、個々の価値観や優先順位を踏まえ、妊娠に取り組む時期や方法をご一緒に検討しましょう。
  • AMHがゼロでも、排卵のために準備されている卵胞数が極めて少ないというだけで、卵巣に残っている卵子がもうないという意味ではありません。
  • AMHはあくまでも卵胞の「数」を反映する一つの指標でしかなく、卵子の「質」を表すものではありません。AMHだけ測定し「数」に一喜一憂する前に、卵子の「質」を落とさない生活習慣を普段から心がけることが重要です。

AMH値から「妊娠できるかどうか」を推測することはできません

 

もし「AMHが低下しているから体外受精」とか「AMHが低下しているからしっかり排卵誘発」といった方針を勧められたら、立ち止まって良くお考えください。たとえAMHが低下していても、卵子がもうないわけでも、すぐなくなるわけでもありませんし、何より「数」が少なくても、「質」の良い卵子と精子が体内でちゃんと出会えれば、普通に問題なく妊娠できるはずです。AMH測定が「体外受精への招待状」にならないことを願います。